LHC start-up


来る9月10日にスイスはジュネーブにあるLHC(大型陽子陽子衝突加速器)が稼動するということで、にわかに盛り上がりをみせている。

http://lhc-first-beam.web.cern.ch/lhc-first-beam/Welcome.html

をみるとビームのテストは成功し、本格ランまでカウントダウンといったところか。

計画では最初は10TeV弱(陽子・陽子を加速して衝突させるわけだから5TeVぐらいで正面衝突)まで加速して測定を行い冬の間のメンテナンスの後フル加速で14TeVまであげるとのこと。その間に4つの測定器でもってして新粒子(ヒッグスや超対称粒子)の発見に繋げるのだ。
ヒッグスは恐らくこれで見つかるだろうといわれているが、エネルギーレベルではアメリカのフェルミ国立研究所にあるテヴァトロン(陽子反陽子衝突加速器)では最大で10TeV程度まで出ているんだから、その兆候ぐらい見えていてもおかしくないと思うけど、そこは精度や統計(バックグラウンド)やらで紛れてしまっていると考えるんでしょう。たぶん。

ヒッグス質量が軽い(100GeVほど)と崩壊するチャンネルが狭まってしまい、2つの光子への崩壊ぐらいしかないから捕らえるのが難しくなっちゃうかもね、みたいなことを聞いた。理論屋はむしろ軽いほうを望んでいる。なぜならさらに他の種類のヒッグスを予想する超対称性モデルが破綻してしまうからだ。(この20年間の研究はなんだったのかって話になる)

陽子・陽子衝突だからメインはグルーオングルーオン衝突でヒッグスが生まれてすぐに崩壊してbクォークか光子などに分かれてそれを解析するんだけど、ヒッグスには関係のない崩壊から生じる粒子も膨大に現れるため、すべての反応を既存の反応かをサーチして篩いにかけて残ったのがヒッグスか超対称粒子かと見分ける。膨大なデータを処理するスーパーコンピュータも必要になるわけで、それこそ国際プロジェクトなのだ。

ヒッグスの存在が確定すれば、標準模型における基本粒子が出揃ったことになり、電弱相互作用の破れがヒッグス機構で説明できる。めでたし、めでたし。。。とは問屋が卸さず、超対称粒子の存在、ダークマターダークエネルギー、重力、…と理論屋のネタには困らない。地上の実験施設で可能なエネルギーレベルか甚だ疑問ではあるが。