LHCの再稼動は2009年6月下旬

http://physicsworld.com/cws/article/news/36973

2008年9月19日に緊急停止して以来、修復作業が続いているスイスのジュネーブ郊外にある研究施設CERNが持つ巨大はドロン衝突加速器(LHC)の再稼動時期が発表された。前回の中間発表では4月ごろという予定だったのが、かなり遅れてしまっている。原因は、セクター3−4間の4重極磁石と2重極磁石を間を挟む電気配線の接続不良によって電気アークが発生し、真空管を覆う液体ヘリウムが入った官に穴を開けて、気化したヘリウムガスの圧力によって周りを破壊してしまった、というのが大まかな事故の現象。さらに最近のレポートによれば、磁石間を繋ぐコネクション部分の金属は超伝導状態にならずに若干抵抗をもっているらしい(液体ヘリウムの外部にむき出しになっているため)。その部分はもちろん地上のテストでは十分にコントロールできていることは確認していたんだけど、LHCのトンネル内に磁石を入れるには一旦分解しなくちゃいけない。それで再配置のときに電気配線を間違えていたらしくて、そこに巨大な電気抵抗が発生して事故に発展してしまったというのが現在までに判明している事故原因とのこと。

交換や洗浄を要する磁石はセクター3−4の55個の4重極磁石のうち14個、154個の2重極磁石うちの39個の合計53個が必要となる。これらは一旦地上に運ばれて使える部分と交換する部分に分けた上で、もう一度地下に配置する。同時に、他のセクターのチェックはもちろんの事、ヘリウム漏洩による圧力に耐えるための補強工事を行った後、圧力テストをしてヘリウムを注入し装置を冷やして実験を開始できる時期が来年夏の初めだということだ。機材のスペアは揃っているので、結局交換と点検作業に手間を掛けさせられるみたい。2度目はない事を願うばかりだ。