世界最大の粒子加速器サイトがハッキング被害


(Times) http://www.timesonline.co.uk/tol/news/uk/science/article4744329.ece
(Daily Telegraph) http://www.telegraph.co.uk/earth/main.jhtml?xml=/earth/2008/09/12/scicern212.xml
現在、目下10TeVの陽子陽子衝突を行わんとしているCERNLHC関連サイトがハッキングを受けてダウンしたままだという。もうすでに1つの陽子は周回中で、逆周りの陽子を投入しようとしている最中にだ。

ハックされたのはCERNCompact Muon Solenoid Experiment(CMS)に関するサイトで、4つある検出器の一つの主にデータ解析を行うコンピュータということだ。CMSチームに初めの陽子が入ってくる瞬間(メディアが注目していた瞬間)を狙ってハッキングを試みていたらしい。CMSチームはATLASと並ぶ巨大な検出器で、ありとあらゆる粒子を捕らえてエネルギーや電荷などを測定し既存の粒子と照合して新粒子を探す代表チーム。
セキュリティに関する警告を出すつもりで"schoolkids"と冷やかした文章をのせたハッカー集団Greek Security Team。世界的に注目されているイベントなだけに、愉快犯的な犯行であることは間違いない。記事を読んでみると実際各国の大統領がCERNを訪問しているらしい。サルコジ仏大統領、ケーラー独大統領、メドベージェフ露大統領等、ブラックホールが出来る歴史的瞬間を狙っているのか知らないが、とにかく何かやればニュースになることは間違いなかったわけだ。CERNの広報部は実験には影響ないとしている。ある科学者はテヴァトロン(アメリカはフェルミ国立研究所にある陽子反陽子衝突加速器LHCのライバル)からのアクセスなんじゃね、とか言っている。妙にあからさまな反応。。とにかく外部からの攻撃には日常的に晒されてきていて頑丈になってきているにも拘らず、やはり外部者の出入りはオープンなためウィルスやらポットやらがUSBや無線LANから侵入しちゃうみたい。システムが巨大になり便利になるほど、セキュリティは貧弱になってしまうという現代のジレンマ。

そういえば、LHCができる以前にCERNで主にソフトェア技術者として働いていたティム・バーナーズ=リーはWWWの基本的構想を作ったことで有名だ。調べたら現在ナイトの称号まで得られちゃってるそうな。一介の技術者だった人が画期的なアイディアとインターネット時代の創成期という背景も関わって、大出世してしまったわけか。考え方は至ってシンプルで要は文章閲覧のための規格統一を行ったということ。煩わしい事が我慢ならなかったんだろうね。