LHC report confirms electrical fault


http://physicsworld.com/cws/article/news/36255
9月19日の午前11時(現地時間)に液体ヘリウム漏れに伴う”クエンチ”により稼動を停止したスイスはジュネーブ近郊のCERNにある大型陽子陽子衝突加速器(LHC)の事故原因の中間報告書がまとまったそうだ。原因はセクター3−4にある2重極(C24)と4重極(Q24)電磁マグネットの繋ぎ目の電気配線の人為的ミスということらしい。
9月10日のテストでは7kAまではOKだったけど、本格ラン9.3kAの一歩手前8kAで配線ミスの箇所からの放電(電気アーク)により液体ヘリウムの入った管に穴を開けて約6トンのヘリウムが漏洩、その周りを覆っている絶縁真空管内に入り込んで温度が上昇、気化することで圧力を上げて一気に周りを破壊した。その距離107m、最大圧力は2000気圧。交換を要するマグネットは少なくとも5つの4重極マグネットと24個の2重極マグネット。さらに100mにわたって破片が散乱しているため、その間にある装置も一旦外して洗浄する必要があるそうだ。でも、こういう状況の為にバックアップは十分あって装備の不足はないとのこと。LHCのような前例のないほどの大型実験には、予想外のトラブルは起こりうるし、今後もどうなるか分からないため備えだけは確保してあるようだ。

巨大なのは実験装置だけじゃなくて、データを解析するコンピューターシステムも非常に巨大なものを配備している。実験を開始して得られるデータ量は莫大で、1年間になんと15,000,000GBつまり15ペタバイトが必要だってこと。それを解析して物理量を抜き出す計算にx86ベースのインテルXeonを搭載したスーパーコンピュータ群、さらに世界中の研究者がデータを共用してつかうためのネットワーク環境の整備も必要となり、まさに現在のテクノロジーの粋を凝縮した施設なんだ。